アクセスいただきありがとうございます。
久しぶりの更新となった今日は、「大企業という病気」というテーマを取り上げたいと思います。
僕が務めているところは大企業です。
全国から優秀と言われる人材が集まり、従業員の数は1万人を軽く超えます。
世間からは日本一の企業と言われ、決算情報だけを見ると非常に優良な大企業と言えます。
でも、その実楽観視はできない状況です。
その理由を僕は今回、3つ取り上げます。
今回はその第1段です。
1、時代背景の変化についていけていない
2、中間職層マネージメントの破綻
3、判断力の欠如
時代背景の変化についていけていない
僕が務めている会社は、人を育てるのが上手、人の活かし方が上手だと言われています。
実際、優秀な人材はたくさんいます。
しかし、実際本当に優秀な人材は一握りに限られます。
ここで断っておきたいのは、優秀な人材とは、会社・組織のミッションを正確に理解し、
そのミッションを達成するために自己の能力を最大限に発揮し、困難な道のりを切り開いていく人間です。
どのような人材を想像しましたか?
サラリーマンというよりはどちらかというとベンチャー企業の起業者(イノベータ)のようなイメージですよね。
僕の勤める会社の凄いところは、このような人が経営者側ではなく、一般社員側にいる・生まれてくるところに
ありまし、た。
2:6:2の法則
あなたは2:6:2の法則を聞いたことがあるでしょうか?
組織の中で、優秀な人間は2割、普通の人間が6割、お荷物的な人間が2割いるという法則です。
余談ですが、この法則で面白いのは、お荷物的な人間2割を取り除いても、時間の経過とともにまた2:6:2の割合で
役割が分かれるというところにあります。
僕が勤める会社もこの法則に従っている気がしますが、少し違うところは、
優秀な人間の2割は、実は0.5割が先に述べたイノベータ的な人間で、1.5割が優秀な人間というところです。
世間の認識と違いがあるのは、こんな大企業なのに、約8割が普通かお荷物的な人間がいるということなのです。
この大企業を引っ張っているのはやはり、上位の2割なのです。
人材育成
人材育成が上手な会社と言われています。
しかし、実際は優秀な人材が集まってきているだけに過ぎません。
教育プログラムはキチンとしたものがありますが、それが人材育成にとって十分に機能しているとは言えない状態です。
それは、時代背景がそうさせることと、次回記載する中間職層のマネジメントが機能していないことによります。
この企業に関する本で、読んだことがありますが、
その昔、工場の問題点を発見するのに一日中ラインを眺めているということをやらせていたと言います。
それも1ヶ月とかいうレベルで他の仕事を与えずにただただラインを眺めて問題点を探る。
その社員は、最初苦痛でしかなく問題点など発見できないと考えていましたが、
1ヶ月も同じ単純なことをさせられていると次第に小さな変化点に気づき、自分なりに仮説が立ち、
その目線でラインを見ると次々と問題点を発見できるようになったそうな。
美談のように語られていましたが、今の時代こんなことをやれば、ブラック企業の誹りを受けます。
入社が浅い社員であれば辞めてしまうでしょう。
また、時間外労働の規制が厳しく、働き方改革が求められる昨今、このような一見『無駄に見える』人材育成に人材を投入することはできません。
お分かりだと思いますが、会社側は場所や環境・時間を提供しているだけで、何も教えていません。
自分で学ばせているのです。
でも、この教育方法は本当に優秀な人間にしかクリアできません。
この影で潰れていった人間も多くいるはずです。
しかし、この企業は元々優秀な人材が集まってくる企業なので、2割の優秀な人材さえ確保できればなんとかなってしまってきたのです。
だから残りの8割をどうにかしようという人材育成の教育プログラムは存在しません。
優秀な人間は集まってきます。
でも、既述のように自分で気づかせるだけの時間を与えるような教育プログラムはもはや時代遅れです。
でもそれに変わる教育プログラムは用意されていません。
その結果、若手や中堅の技術者に優秀な人間がどんどん少なくなってきています。
マインドレス
かつて、大きな企業につとめ、その中で活躍することは一つのステータスであり、サラリーマンにとって大事なマインドでした。
しかし、昨今の「働き方改革」とか「ワークライフバランス」という曖昧な言葉が横行したために、この崇高な理念は完全に
『過去の遺産』となりました。
その昔、公私の境目なく、仕事に没頭し、趣味=仕事として研鑽・研究を続けてきた多くの技術者によって支えられてきた大企業は
国と時代によってその武器を取り上げられました。
一部の優秀な人間の「献身」によって企業を牽引してきたのに、その優秀な人間も減少の一途を辿り次の世代が育たない。
また現存する優秀な人間も、次回お話しする中間職層のマネジメントが崩壊しているために十分な力が発揮できていない。
仕事上で成果を出していく、企業と共に生きる、自分を成長させていくというマインドは年々薄れていっています。
離れる経営陣と一般社員の考えと気持ち。
企業は急速に競争力を失いつつあります。
しかしそのことを理解しているのは、上層部だけです。
次回は「中間職層マネージメントの破綻」についてお話します。